2013年6月5日水曜日

成長戦略第三弾をまとめてみた

 6月5日に安倍首相が内外情勢調査会で行った「成長戦略第3弾スピーチ」。第一弾テーマの「女性の活躍」、第二弾テーマの「世界で勝つ」に続いて発表された今回のテーマは「民間活力の爆発」。この前まとめた第2弾に続いて、要点をまとめてみると、こんな感じかな。


・インターネットによる一般医薬品の販売解禁、ネット選挙解禁、健康食品の機能性表示解禁など、時代に合わない規制の撤廃
・保険外併用の対象となる先進医療については、技術の有効性や安全性を証明する手間を、申請する医療機関が全面的に負担してきたが、国が全面的にサポートする形へと切り替え、審査期間も半減する
・細切れの農地を集約して競争力を高める農地集積バンクの取り組みをさらに強化
・国際的なビジネス環境を整えるために、国家戦略特区を創設
・小売の全面自由化と発送電分離による電力システム改革
・石炭火力発電の高効率化と世界展開。再生可能エネルギーの発電施設も合わせた環境アセスメント運用の緩和(今後10年間の日本の電力関係投資を過去10年間の実績の1.5倍である30兆円規模に)
・民間の健康・予防サービスの新規参入者を法的に認定して、安心して事業ができるようにする仕組み作り
・疾病治療中心の保険制度の運用を見直し、すべての健保組合や国保などの保険者に対して、加入者の受診データの分析と評価を導入し、加入者の病気予防に取り組むように求める
・最新の技術を活用し、コストを抑えながら、安全性の向上を図る「インフラ長寿命化基本計画」を、秋にまとめる

 加えて、今回の成長戦略ではKPIも定めています。主要なものは次の通り。

・3年間で民間投資70兆円を回復
・2020年にインフラ輸出を30兆円に拡大
・2020年に外国企業の対日直接投資残高を2倍の35兆円に拡大
・2020年に農林水産物・食品の輸出額を1兆円に
・10年間で世界大学ランキングトップ100に10校ランクイン

 ただし最大のKPIは「一人あたりの国民総所得」ということで、海外経済にも恵まれて、この成長シナリオを実現できれば、一人あたりの国民総所得は年3%を上回る伸びとなり、10年後には現在の水準から150万円以上増やすことができるということです。

 事前に噂されていた内容よりも踏み込んだ具体策が示されなかったことで、株式市場では失望売りが出たようです。まあ結果が出たら市場も評価するでしょうから、政治としては地道にやれることを積み重ねていくしかないでしょうね。