2013年7月22日月曜日

なぜ公明党は参院選比例区で政党名票より個人名票の方が多かったのか

 自民党の圧勝で終わった第23回参議院議員選挙。票の流れを見ていて、気になったのが比例区の動きです。

  参議院選挙の比例区では、政党名を書いて投票する方法と政党の比例代表名簿に載っている人の名前を書いて投票する方法の2つがあります。全体的には前者を選ぶ人が多いのですが、よく見ると公明党では後者の方が多くなっていたのです(NHKのデータ)。

  分かりやすいように全体をまとめたのが↓の表です。

 政党名 政党名率 政党名投票数/全投票数
自民党 76.27% 14,080,143/18,460,404
公明党 44.04% 3,333,142/7,568,080
民主党 67.66% 4,827,158/7,134,215
日本維新の会 81.68% 5,191,563/6,355,299
共産党 90.17% 4,647,765/5,154,055
みんなの党 88.77% 4,221,422/4,755,160
社民党 74.74% 938,227/1,255,235
生活の党 76.70% 723,987/943,836
新党大地 76.24% 398,848/523,146
緑の党グリーンズジャパン 52.95% 242,460/457,862
みどりの風 74.21% 319,630/430,673
幸福実現党 79.99% 153,296/191,643 

 政党によって政党名の割合が40%台から90%台まで大きく異なっているのが興味深いですね。政党名より個人名が書かれる理由については、いくつか考えられます。

 (1)タレントなど知名度のある候補が比例代表名簿に載っている
 (2)何らかの組織がバックアップしている候補(組織内候補)が比例代表名簿に載っている

  (1)については日本維新の会でトップ当選のアントニオ猪木さんが代表的。(2)については自民党でトップ当選の元全国郵便局長会会長の柘植芳文さん、民主党でトップ当選の自動車総連特別中央執行委員の礒崎哲史さんなどが代表的でしょう。

  (2)の組織内候補と比較して(1)のタレント候補が意外と票をとっていないところを見ると、政党名の割合が高い政党ほど、組織に根ざしていない、風頼みの政党と言えるのかもしれません。日本維新の会が81.68%、みんなの党が88.77%と非常に高いのは、そのイメージに合っていますね。共産党が90.17%と一番高いのは個人的には意外なのですが、東京選挙区で30歳の吉良よし子さんが当選したことを見るに風の影響を大きく受ける政党になっているのかもしれません。

  政党名の割合が低い方を見ると、緑の党グリーンズジャパンがわずか52.95%。これは三宅洋平さんの知名度が圧倒的で、三宅さんだけで比例区の票の38.65%を占めているのが大きいです。 

 一方、政党名率が44.04%と唯一、個人名率を下回っている公明党に関しては、支持母体の創価学会が組織的な選挙を行っていることが挙げられるでしょう。得票数上位6人の候補が50万~90万票なのに、7人目は3万票弱と大きく離れています。このあたりは当選させたい候補に、うまく票を分散させているんでしょうね。東京選挙区でうっかり2人目の候補が落選しかけた自民党よりは組織内連携がうまくいっていることがうかがえます。 

 ちなみに公明党は2010年参院選比例区では、得票数7位の浮島とも子さんは44万票も入っているのに、公明党として6議席しか獲得できなかったために落選しています。そのために今回は上位6人しか力を入れていなかったと推測されますが、あまり力を入れていなかった7人目まで当選したのは、公明党にとってはポジティブサプライズということかもしれないですね。

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